top of page
検索
  • 執筆者の写真紙成鳴美

舞い上がれ



桑原亮子さん脚本のNHK朝ドラ「舞い上がれ」


ヒロインの相手役、短歌を詠むたかしくんのモデルはこちらの歌集「滑走路」を書かれた萩原慎一郎さんではないかと、Twitterで呟かれています。萩原慎一郎さんの弟さんが色々な共通点に気がついてtweetされています。


中学時代のいじめによる心の傷が癒える事がなかったのか、2017年この「滑走路」という歌集の入稿後、出版される前に32歳の若さで命を絶ってしまわれたとの事。


ドラマ「舞い上がれ」では最初は主人公がパイロットになる夢をもって進んでいきますが、亡き父の家業を優先する思いから断念し、東大阪の工場で羽ばたいていく様が描かれています。


歌集「滑走路」もパイロットとして飛ぶのではなく気持ちが飛び立つ滑走路の意味。


歌集の解説は朝ドラマでタカシ君を導く役として又吉直樹さんが最後に執筆されています。


冒頭の短歌も中央に1句だけ「いろいろと書いてあるのだ 看護師のあなたの腕はメモ帳なのだ」と象徴的におかれています。


あと歌集には自転車がよく出てきます。あとご自身の非正規雇用の苦しみも。


ドラマ「舞い上がれ」のタカシ君が短歌に目覚めるきっかけの古本屋の店主として、解説書を書いた又吉直樹さんが演じ、ドラマの舞の親友が看護師で、人力自転車飛行のスワン号、町工場の雇用問題も扱われています。


桑原亮子さんと、萩原慎一郎さんは同じ早稲田大学で年も近いので接点があったのかは分かりませんが、桑原亮子さん自身も大変な苦労と努力を重ねていらっしゃる方なのでとても繊細で勇気を与える脚本を書かれるのだと思いました。もしドラマのベースに歌集の滑走路への思いがあったとしたら、また違って視点で奥深いものを感じます。


歌集の最後の解説欄では歌人の三枝昴之さんが

「現代の青春がいかに多くの困難を抱えているか。『滑走路』にはその困難が痛々しいまでに充満している。その一つは非正規という労働環境で生きる若者の現実である。」


と記されています。


私が歌集の中でお気に入りは


「今日という日もまた栞 読みさしの人生という書物にすれば」


とても繊細な方というのが全般に渡って伝わってきました。







bottom of page